ありふれた日常の平凡な会話
「あっれー、順平じゃん」
「……?あー、あーあーあーあ。あーーー。ゆかりっち」
「アンタ何してんの?」
「見ての通り、本を探しておりますが」
「イヤ本とか言ってるけどココ、漫画雑誌だから」
「イグザクトリー」
「しかもココ、少年誌のコーナーだから。せめて隣のビジネスマン向けの漫画雑誌行けっつーの」
「解ってないなーゆかりっちは。男はね、いつだって心は少年のままなの」
「ヒゲスネ毛が基本装備の少年とか見たくないから」
「ハイありがとー」
「いやいや。何も褒めてないから。ってか久し振りねー何年ぶりだっけ?」
「いやソレは冷たすぎでしょ。2ヶ月くらい前に会ってるでしょ」
「バレたか。誤魔化せると思ったんだけどなー」
「いやいやいや、つか飯食ったでしょ、一緒に」
「忘れたい記憶よね」
「えーあれーナニこの冷遇。おかしくね?性別を越えた親友にひどくね?」
「てか性別越えたんじゃなくて、性別を意識しないが正しいけどね」
「わー喜ぶべきか悲しむべきか」
「じゃあアンタ、アタシの事女として見れる?」
「スイマセン、マジ勘弁して下さい」
「殴ってやるから左の頬を出しなさい」
「アレ熱血スポ根?」
「友情の証とも言うわね」
「俺っちM属性ないんで許してチョーダイ。土下座すっから」
「店の迷惑考えろっつーの」
「てか、ゆかりっち、どしたの。こんな時間に珍しくネ?」
「え?あぁ、今日は有休とったのよ」
「はーなるほど。休んで遊んで金貰えるアレね」
「凄い嫌な響きネ……ってか普通に市役所に用事があったのよ。
ホラ、お役所って平日しか駄目じゃない?手続きとかそういうの」
「え、ナニナニ、結婚?婚姻届?えー、俺、スーツとか用意した方がいい?」
「じゃあ予定ないけど御祝儀だけチョウダイ」
「えー」
「えー、じゃないわよ」
「てっきり前に言ってた携帯聞きまくってきたシツコイ男と遂にフォーリンラブかと」
「よし、本当に殴ってやる!」
「痛い痛い!!だから俺Mじゃねぇっつってんじゃん!」
「普通に考えてもみなさいよ、タイプじゃないから携帯教えてないのに、あんなシツコイ奴、どこの誰が…!」
「まーソレもそうねー」
「そういう順平はどうなの」
「あれ?俺、何かそういう系で話したっけ??」
「したわよ」
「嘘。俺、最近、グラビアアイドルに首っ丈な話したっけ??」
「わー、本当アンタ解りやすすぎて期待を裏切らない男だわ。
そうじゃなくて、ホラ、言ってたじゃない。ご飯食べてる時に泣きながら」
「……………???……………………………。………!?お、思い出したくもない過去を…!!」
「どうなったの。逃げ切ったの?」
「逃げ切ったから過去なんだよチクチョー!!」
「こっちとしては中々に面白かったんだけどナァ」
「マジ冗談でもソレは勘弁してくれよー!野郎に告白されて付き纏われたなんてホント、一生の不覚だぜー」
「あははは、あん時もアンタ完全にまいってたもんねー」
「もーね、俺、あん時は本当、何故か親に謝りたくなったもの…」
「あははははははは」
「あのな、ゆかりっち、笑い事じゃねぇぞ。アイツ、俺の尻掴んできたんだぞ…!
しかも視線が何か俺の股間見てんの!シャレなんねぇよ、この後の展開が何か俺、予測できたもの…!」
「前も言ってた言ってた、ソレ。お尻は流石にねー。アンタ掘られる側だったんだ、ソイツの中で」
「マジ勘弁だよー、俺、今まで痔もきったことねぇのに本当、なにそれって感じでさー。
本当、暫く俺、尻恐怖症だったモンねぇ」
「ナニソレ。聞いたことないわよ、そんな恐怖症」
「掴まれたら解るって。マジ、生命の危機!みたいな感じでさー…痴漢に遭った女の子の心の傷が俺にも解ったもん」
「じゃあこれからは痴漢しないわね、アンタは」
「いやいや、今までもした事ねぇから」
「え、マジ?」
「いやいや、え、ナニコレ、ナニこの冷遇。あれ、コレ2回目じゃね?本日2回目じゃね?」
「でもアンタさ、大学ん時も言ってなかった?そういう話。何かバイト先の先輩に〜とか何とか」
「あー、尻撫でられました事件?」
「そうそう。それでバイト辞めたんじゃなかったっけ」
「そうです。イグザクトリー」
「アンタもよく男に好かれるわねー」
「同じくらい女の子にも好かれたら嬉しいんだけどねー。尻触ってくるのも女の子なら嬉しいのにねー。
………って、ナニしてんのゆかりっち…」
「え、アンタが女の子にお尻触って欲しいっていうから」
「いやだからって、ナニユエ貴方が触るかな」
「だってアタシ、女の子よ」
「あー、あーまー戸籍上はね、身体的にはね。でもなー何かゆかりっちに触られるのは何か…ゴマメ、みたいな感じが」
「もっとちゃんとアタシを見なさいよ!」
「無理だってーってかゆかりっちだって俺の事別に男として見てないから尻触んでしょーってか今も触ってるしさー」
「あ、止めようか?」
「何か絵面的にやめた方がいいかも。ここ、少年誌コーナーだし」
「それもそうね。うーん、…でもちょっと解る気がするかな」
「え、女の子に尻触られたい気持ち?」
「いや、そうじゃなくて。順平が男に好かれる理由」
「え、なにそれ、俺、何か原因あったんだ!教えろよ!! 回避する術を教えろよ!!」
「ヒゲ。と、ハゲ」
「…………は?」
「いやイメージね。そういう人たちって、そういうパーツ好きじゃない?」
「そんな事言ったら高校球児はほぼ全滅させられるだろうが…」
「それもそうか。うーんアタシの偏見か」
「そうあって欲しいね、俺としては。ヒゲもボウズも俺のトレードマークだから」
「でも順平のお尻って触った感じ、何か小さくていい感じかもね。
女の手だとちょっと余るけど男の手だと案外ちょうどイイというか何というか」
「そんなもん?俺、人の尻なんて触ったことねぇからイマイチよくわかんね」
「あ、じゃあアタシの触る?」
「イヤイヤイヤイヤ!何言ってるのゆかりっち!流石に俺、友達といえど彼女でもない女の尻は触れねぇよ!」
「いや、何か順平なら平気かなぁって思ってさ。性別を考えてないからかな」
「えー、なにその大胆。ビックリするぜ正直に」
「あれ、駄目かな。何かね、何だろうね。やらしい触り方さえしなきゃ、順平はOKみたいに思えるんだけどな」
「え、ここで恋愛フラグですか」
「立たないなーそれは」
「ですよねー」
「で、触ってみるの?触らないの?ここで触らないとアンタ一生チャンスないわよ」
「ヒド!!俺って今後もう女の人のお尻触れないんだ!?」
「男のならチャンスは沢山ありそうだけどね」
「俺の心の傷を抉らないで!ってか公衆の面前で流石に触れんだろーマジな話」
「それもそっか。じゃあ今度機会があれば」
「てか何でそんな積極的に尻を触らせようとするの…ゆかりっち変わったよ、変わっちゃったよ…
高校の時なら俺がそんな事言っただけで冷たい視線を送ってきてたのに…」
「うーん…色々見てきたからかなぁ。ていうかさ、お尻って男も女もついてるじゃない?だから何か別に。
そりゃ胸とか………その、男の人のナニとかは触ろうとは思わないけど」
「あー……何かソレ、解るかも。尻は別に平気かもなぁ…………やらしい触り方は抜きで」
「あはははは、そりゃそうよね」
「トーゼンっしょ」
「さーてと、何か結構喋っちゃったな。アタシ、帰ろっかな」
「あ、いけね、俺も帰って布団入れねぇと」
「じゃあまたね、順平」
「おー、またなー」
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ゆかりと順平は卒業しても時々偶然に会って仲良くしてたらイイナ。
ベッタリしない、さらっと、した感じで。
最初の頃のゆかりは順平がお調子者で女の子のコトばっか話すから正直嫌いだったけど、
寮で一緒になってからそういう面はおちゃらけてるなコイツって解って、トモダチとして好きになってたらイイナという妄想。
ゆかりは別に尻自慢なんじゃなくて、本当に平然と触らせれるくらい、ドンっとした女になって欲しい。
逆にソコが男前だよ!みたいな。
て言うか二人の会話って普通すぎで尚且つテンポ良さそうと思って会話にしたのに、
何かすんごい無駄が多くて気が付いたらこんな長文に……!ひぃ!!