夏祭り
知らなかったね、こんな所でお祭りやってるなんて。
へぇ、毎年なんだね。去年、僕知らなかったなぁ。
あ、ナスティも？純は…まぁ知らないよね、地元じゃないし。
それにしても広いなぁ。沢山お店、あるね。
でも買ったものを食べるための場所も用意してくれてるってのは本当、助かるよ。
じゃ、お楽しみの買出し、行きますか。
えーっと、席を取っておく必要もあるし、でもみんなやっぱりお店、見たいよね？
交代制にしよっか。
先ず誰が出るか、何時に戻ってくるかを決めなきゃいけないから……
って秀！っちょ、ちょっと！！待ちなって！！
コロッケはちっともキミを呼んでないよ！！！
当麻まで！！！
ヤキソバの屋台なんて山ほどあるんだから、急がなくたってなくならな……………
あああ……音速だ。
あの2人、テンション上がりすぎだよ。
はあああああああ…あぁ……
予測は、ちょっとはしてたよ。してたさ。でも………何もあんなイキナリ行動に出てくれなくていいのに…
はあ……
仕方ない、僕が席、取っとくよ。
あ、ナスティも残るの？
え、純まで！？純、キミもお祭り楽しみたいでしょ？いいよ行っておいでよ。
……「秀兄ちゃんか当麻兄ちゃんが戻ってきたら行く」？
……………じゅん…っ！
…ん？え？征士、探しに行ってくれるの？
そうだね、自分より年下の事を考えずに行動しちゃうなんて本当、呆れちゃうよ。
よし、ここは正しい”お兄さん”として、任せたよ！
…………………遅い。
征士、遅すぎる…っ！
ねぇ、まさかアイツ、迷子！？
あんな目立つ頭の人間と、どこ行っても騒がしい人間を探しに行って、あの派手な容姿で、迷子！？
うわあ………はぁ…
秀も当麻も戻ってこないし……
えっ、遼が行くの…！？
いや、キミは…ちょっと…………あ、いや、違うよ！？キミが頼りないって言ってるんじゃないんだよ！？
えーっと、えーっと………えぇっと…
…え？「2人で探しに行ってきたら？」って？
……いいの？ナスティ、純と2人でここで待つ事になるけど…
…うん、そうだね、判った。あの子達見つけたらすぐに戻るから、そしたら残りの時間、沢山楽しんできてね。
うん、約束するよ。
それから変な人に声かけられても適当に無視してね？完全に無視して相手を怒らせても困る事になるし。
じゃあ純、ナスティのこと、守るんだよ？
うん、じゃあ行ってくる。行こう、遼。
それにしても…ヤキソバって当麻、言ってたよね。
秀は…そうだコロッケだ。
まぁ多分、もうお目当てのものを買って別の屋台に行ってるだろうけど……
って………いた…っ！
秀、見つけた！！
こら！何してんの！！！
「スーパーボール掬い」じゃないよ！
もう、自分が遊ぶことばっかり考えて！純のことも考えてあげなよね！
兎に角、秀見つけ。
僕と遼はこれから当麻を探しに行くから、キミは先にナスティや純の元に戻ってて。
一緒に来なくて良いよ！キミ、散々会場を見て回ったでしょ！？
罰として寄り道せずに戻りなさい！
「えー」じゃないよ、女の人と子供だけ残してるんだよ？そうだよ、何かあったら大変なんだから！
ホラ、行った行った！
…よし、取敢えず1人完了だ。
さて、当麻は………青い髪なんてそうそういないから目立つ筈なんだけどな…
夜だと流石に目立たないかな…？
でも征士は判りやすいと思うんだけどなぁ…
確かに周りには観光客の外人さんも多いけど、女の子がソワソワしてる雰囲気があったら近くにいると思うんだよ。
……ま、それは当麻も同じか。
と、思ってたら見つけた！当麻！
何してるんだよ、もう！
え？…あぁ、バルーンアートっていうんだ、コレ。
へー面白いね。
で？キミ、何でプードルを5体も持ってるの……？まさか人数分、作ってもらうつもりなの？
わぁ、これで6体だ。そうだね、あと1体でみんなの分が揃うね。
って馬鹿！
勝手に飛び出して行って散々心配かけて、何してるの！
あーあー、そうだね、キミがみんなの為にこうやってお揃いの物を買うって考えてるのは、随分と進歩したし、
正直、可愛いところがあるねって思えるけど、純やナスティがお祭り会場を見て歩けてないのは不公平でしょ！
「あ」じゃないよ！…っもう……何で気付かないかなぁ…
まぁいいや。後は征士だけだし、遼と先に戻ってて。
え？「遼、どこ」って…？
僕と一緒に………っていない！？
嘘、嘘でしょ！？さっき秀を見つけた時は一緒にいたんだよ！？
どこではぐれちゃったんだろう…
いや、いいよ。キミが遼を探しながらナスティたちの所へ向かったんじゃ、途中でまた会えなくなるかも知れないし。
うん、遼も征士も僕が探してくるから、キミはみんなの所に戻ってて。
ヤキソバ、冷めちゃうでしょ。
うん、行ってらっしゃい。
…え？…ごめんなさいは、ナスティと純にしなさい。判った？
……さてと。
征士と遼、どっちが先に見つかるか、だよね。
ううん…征士は目立つからいいけど…遼はなぁ……目立つわけじゃないけど、ちょっと人と違う雰囲気はあるし……
でも妙に馴染んじゃって見つからないこともあるし…
ああ、ある意味一番厄介な子と別れちゃったかも…はぁ。
何にしても見つけやすい方を優先しようかな。
征士、征士………征士は……
…ってキミ、何しれっと擦れ違ってるんだよ！
「いたのか」じゃないよ、何驚いた顔してるんだよ、征士ってば！
当麻も秀ももう見つけて、ナスティたちの所に帰ってもらってるよ。
「どこにいた？」って…キミ、本気で、大真面目に探してて本当に見落としてたの…？
………ある意味才能だね。
え？僕？だから僕は秀と当麻と、それからキミを探しに来たんだよ。
そうだよ、キミ、今は立派に迷子の立場だからね！
…あ、違う。キミが最後の迷子じゃないんだ、実は。
遼がね………一緒に探しに来てたのに、…はぐれちゃって………
いや、いい！いいよ！僕1人で探すから！
一緒に探してキミまではぐれたら、面倒だから！
うん、だから先にナスティたちの所に行ってて。
当麻と秀が食べ物、沢山買ってたから。それらプードルがいるから。
いや解らなくても大丈夫、見たら解るから。プードルだから。うん。
はぁ、後は遼だけだぞ、と。
どこだろう。
遼が見そうなもの…遼が気を取られそうなもの………
射的かな、型抜きかな、それとも……お化け屋敷…？
多分、通ってきた道の店だと思うんだけど…
いや、待てよ。
案外、どこか人気のないところで座り込んでたりしないかな。
人に酔った、とか言って。
……有り得そうだな。
ちょっと屋台の裏とかも気を付けて見ていかないと……
あ、いえ、結構です。綿菓子とか、今はいいです人を探してる途中なんで。
……って遼！！？
キミ、何で綿菓子の屋台で、手伝いしてるの！？
え！？手伝ってるんじゃない！？
じゃあ何してんの！何で屋台の中に入っちゃってるの！？
すみません、この子、僕のツレなんです、すみませんご迷惑をおかけしました…！
…え？「別にいい」？いえ、でも…
えええ？「真剣に観てたから、やらせてみて」？
「下手糞過ぎたから、教えてあげてた」……？
っほ、本当にすみませんでした！
遼、ほら、キミも謝って！それからお礼言って！
もぉ………何でお店にいたの。
…歩いてる途中で気になって見ちゃってたの？それはお店の人にも聞いたよ。
なに？見てるうちに僕とはぐれてて？…それでお店の人が、待つついでにやるかって言ってくれたの…？
……そうだね、いい人で良かったね。
…まぁ……いいや。
みんなのところに帰ろう。
食べ物なら沢山あるからさ。うん、花火が始まるまでの間に、今度はナスティと純に沢山お店見せてあげなきゃね。
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伸兄ちゃんは苦労性だと思います。
皆でわーわー言いながら食べて、適当に屋台を見たら最後は花火を見ますよ。