今だから言えること



「俺さー、初めてアンダー擬亜着たとき、ブルマみてぇって思ったんだよなー」

「……秀、キミ、あんな緊迫した状態でよくそんな間の抜けた事を思えたね…」

「でも俺もオムツみたいって思ったよ」

「遼まで…」

「いやいや誤解すんなよ、伸。何も俺ぁずぅっと思ってたワケじゃねーんだぜ?」

「え」

「…え、って、え。遼、何、お前まさかずっと思ってたってオチ?」

「いや、そうじゃないけど、……時々は…」

「………遼。僕は時々キミが凄く遠い存在に感じるよ…」

「でも恥ずかしいくらいは伸も思わなかったか?」

「…そりゃ……まぁ、思ったけど。結構身体にフィットした状態だからね」

「何の話してんだ?」

「お、当麻。ちょーどイイトコにきた。なぁ、初めてアンダー擬亜着たときなんか思わなかった?」

「アンダー擬亜を着たとき?」

「そ、初めて着た時」

「……………あぁ、そういえば、”どういう体型でもフィットするんだな”って思った」

「って何で俺見て言うんだよ!何か言いてぇコトあんのかよ!」

「いや、たまたまお前が視界に入っただけだ。気にすんな」

「気にするわ!」

「何だよ、こっちは何も思ってないのに勝手に怒るなよ。面倒だな」

「ッテメー!」

「まあまあ、…確かに僕ら全員、体型違ったしね」

「それにアレっきりじゃなかったからな、着たの。特に当麻なんて背が伸びたから、最初の時のサイズのままだったらキツかったよな?」

「キツイっつーより多分、着れないだろ」

「当麻、あの間に何cmくらい伸びたの?」

「んー……10cmはいかないけど、まぁ5cmちょっと?それくらいは」

「でかっ!」

「いいなぁ…」

「成長期成長期」

「なあ、どうやったらそんなに伸びる?」

「よく食べてよく寝たらいいと思う」

「お前は食べすぎの寝すぎだ、馬鹿者」

「あ、征士」

「…何でお前って俺を見るたび説教するわけ?」

「別にそうでもないと思うが…もしそう思うのなら、それほどお前の生活態度がだらしないのだろうな」

「いちいち人の事に口出すなよな」

「仕方ないだろう。同室なのだ、嫌でも目に入る」

「目に入っても黙ってりゃ」

「はいはいはい、ストップ。っもー。2人ともヤメ」

「…………。………で?」

「で?って?」

「何の話をしていたのだ?」

「あー、話ね。あんさぁ、征士、お前アンダー擬亜初めて着たとき、何か思った?」

「アンダー擬亜を着たときか…?」

「うん。みんな思ってた事はバラバラだけど、全然戦いに関係ない事を思ってたみたいなんだ。だから征士はどうかなって」

「私は……そうだな…」

「うん」

「……急所は守られているわけだな、と」

「………………は?」

「だから、急所の部分が少し浮いていただろう?ああ、これなら無事か、と」

「…って何でそこで当麻のソコ見て話すわけ」

「?…ああ、すまん、手近に有ったからつい」

「つい、で人のモン見るか?フツー」

「自分のを見下ろすより早い位置にあったのだ。仕方ないだろう」

「仕方ないってキミねぇ…っていうか当麻は苦情言っていい立場なんだよ?何でキミ、何も言わないの」

「え?何か言った方がいい?」

「………いや、見るなヨ!とか…何かそういうの、あんだろ…」

「別に引ん剥かれて見られたワケでもないんだからイイだろ。ちらっと見られただけだし」

「………僕は遼同様に、キミと征士も時々、凄く遠く感じるよ」

「え、それじゃあ伸は秀しか身近じゃないのか!?」

「あっそういう意味じゃないんだけど…!……何て言うか……こう………世間とのズレ的な?」

「…ごめんな、伸。俺、よく解らない」

「……いや、遼、謝んな。…それと伸、俺はお前の言いたいコト、何か解るぜ」

「ありがとう、秀……」

「で?結局、なに」

「何がだい?」

「いや、俺と征士の意見は俺も解ったけど、お前らは何を考えてたんだよ。アンダー擬亜着たとき」

「私は自分の意見しか知らんぞ。答えたのだから、みなの分も教えてくれてもいいだろう」

「あー、そっか。悪ぃ。えっと、俺が”ブルマみてぇ”で、遼が”オムツみてぇ”。で、当麻が”身体にフィットするんだな”って」

「微妙に違う。俺は”どんな体型でも着れる”だ」

「っせーな!だから俺見んなつってんだろ!」

「お前が話を仕切ってたから見ただけだろ。この話題になると自意識過剰だぞ、お前」

「とーまが言うから余計に気にすんの!」

「秀、落ち着けよ。当麻の言うとおり気にし過ぎだって。それに秀がそうやって気にすると当麻も細すぎる事を気にしなきゃ駄目になるだろ?」

「………遼、俺、何か傷付いた…」

「え!?何で!?」

「……俺、もうちょっと肉つけるべき?」

「お前は食べてもつかんのだから諦めろ」

「それで征士の言い方はかなり傷付くっつーか酷いんだよな」

「ほら、もーその話題はいいだろう?」

「…………そういえば、伸は?」

「僕?」

「ああ。恥ずかしいって思ったか俺が聞いたら同意したけど、伸自身はどう思ってたか聞きそびれたから」

「……………あー……」

「何だよ、間延びした返事だな」

「うーん…」

「ハッキリ言っていいだろう。私たちも大概、戦いと関係ない事を思っていたのだから、今更誰も非難せんだろうし」

「いや、そうなんだけど…」

「なーなー、伸は何思ってたんだよ。俺のブルマ発言を間抜けつったけどよー」

「………………うーん……と、ね」

「うん。何だ?」

「………………………トイレの時、全部脱がなきゃ駄目かなって…」

「…………………………そうか」

「………………俺よかヒデェ…」

「そう言えば考えてもなかったなぁ」

「でも確かに現実問題として気にすべき問題ではあったよな」

「…………うん、その…………その居た堪れない視線っていうのかな、ヤメてもらっていい?僕も何か反省してるから」




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たまには伸兄ちゃんだって苦しい立場に立ちます。
実際、彼らは一旦擬亜を解除して用を足してたんでしょうか。こういう話題が出来るのは、ナスティが外出してるから!