手の平サイズ



「お?」

「ん?」

「んー?当麻、お前、…何か…雰囲気が?……お、おお……?……っあー!わぁかったぁー!!」

「何だよ!急に大声出してうるせぇな!」

「いやー、そっか!そっかそっか!!あ、伸!伸、ちょっとコッチ!」

「なんだい、秀!大きな声出して!僕、教室に帰りたいんだけど…引っ張らないで!」

「いーから!教室とか後でいいから!な!なぁ、コレ!」

「…当麻だね」

「いつもと違うだろ!?」

「眼鏡かけてるなんて珍しいね」

「え、そんなアッサリ気付くか!?俺しばらく悩んじまったのに!?」

「普通は眼鏡くらい気が付くと思うのだが」

「当麻ってそんなに目、悪かったっけ?」

「いや。今回の芸術鑑賞、映画だったろ?それも字幕の。見えなくはないけど、やっぱり疲れるからかけたんだよ。って初めて見た?」

「俺ぁ初めてだ」

「僕もだね」

「私はあるぞ。部屋でたまにかけている」

「うん」

「へー…って、あ!遼!こっち!コッチこい!」

「どうしたんだ、みんな集まって」

「ホラ、コレ!どうよ!」

「…?当麻がどうかしたのか?」

「何か違わねぇ!?」

「えー……………髪型?」

「嘘、遼、それ本気で答えてるのかい?」

「違うのか…何だろう。……髪切った?」

「遼、わざわざ秀を喜ばす必要などないのだぞ?」

「え、ちょ、ちょっと待ってくれって。当麻だろ?当麻だけど…何が違うんだろ」

「…………ここまで言われると逆に俺の顔を覚えてないんじゃないかって悲しくなってくるんだけど…」

「そんなワケないだろ!?ま、待ってくれよ、当麻!そんなに落ち込まないでくれ!ちゃんと考えるから!」

「いや、そう必死に言われる方が…」

「眼鏡だよ、眼鏡。ホラ、当麻、眼鏡かけてるの。今日。遼、当麻の眼鏡姿って見たことあったかい?」

「あ!本当だ!へぇ……俺、見たことない」

「征士だけ見たことあんだってよ」

「そうなのか」

「部屋でたまにかけてるからな」

「普段はコンタクト?」

「いや、そこまで悪くないけど……ていうか皆、もしかして眼鏡、必要ない人ら?」

「ああ」

「おうよ」

「うん」

「そうだな」

「……俺だけかよ」

「な、当麻!眼鏡、ちょっと貸してくれよ!俺、目ぇいいからさー、ちょっと掛けてみてぇ!」

「えー…壊すなよー?」

「壊さねぇってば!……うぉ、…ちょ、コレは……キツイ…!」

「はぁ?そんなにキツいの掛けてねぇよ、俺だって。ちょっとグラつくくらいだろ?秀は大袈裟なんだよ」

「いや、そーゆー意味じゃなくて……幅が…!」

「幅ぁ?」

「眼鏡の、幅が……いたたっコメカミ痛っ!」

「そうか、秀って顔、大きいもんな」

「ちょ、遼…っ」

「ひでぇ…」

「え?…あ!ゴメン、そういう意味じゃなくて、当麻と比べてって事で!」

「伸になら言われ慣れてっけど、遼に言われてしかもフォローされると余計に厳しいぜ……」

「いや、秀、ゴメン、多分俺が掛けてもキツイから…貸して!」

「どうだ?遼」

「……あ、うん、確かにちょっとキツイかも…」

「え?そうなの?僕にも貸して」

「いたたた…はい」

「………あ、本当だ。ちょっとキツイねぇ。はい、征士」

「私も掛けるのか。………うむ、これは確かに…少々キツイな」

「当麻、顔………小さいんだな」

「言われて見れば小さいね」

「ちっせぇよな。何でだ?」

「うむ……確かに我々に比べて小さいな」

「小さい小さいってあんま言うなよ……何か…男の沽券に関わる」

「え?何で」

「遼、解らないならいいんだよ。当麻が下世話なだけだから」

「お前ってケッコー、下ネタにいくよなー。で、何、お前、アレ小さいの?」

「いや、当麻のは小さくないぞ」

「って何で征士が答えるのさ!」

「いや。…見たことくらいあるだろう?」

「え、俺、見たことない。それも部屋で?」

「りょりょ、遼!ちょっと口閉じようか!」

「伸ちゃん噛み過ぎ。ていうか普通に風呂とかで見るだろ。いや、マジマジ見てんじゃないけど、たまに風呂、一緒になるだろ?
その時とか……なぁ?」

「うむ」

「あー、そういう意味か。ビビったー。…ていうか何の話してたっけ?俺ら」

「眼鏡」

「違うよ、顔の大きさだろ?」

「顔かぁ…当麻、小さいな」

「自分の顔のサイズなんか改めて考えた事ないし解んねぇよ……秀より小さいのはわかってるけど」

「当麻、お前何気にヒデェな」

「何のことやら……って何…、…!?っイタタタタタタタ!イタイイタイ!!!」

「!?征士、何してんの!?」

「おい、征士、離せって!」

「どうしたんだよ、征士!」

「イタイイタイイタイ!離せ!征士なのか!?チクショ、離せ!何だよ!!」

「?…あぁ、すまん、当麻の顔の大きさを測ろうと思って…」

「だからって何でアイアンクローかましてんだよ!?って離してやれって!」

「イタイタイタ!!!!……ぷはぁっ!お前、力加減しろよ!この馬鹿力!!」

「すまん。ただお前が避けようとしたから逃げられんようにしたかっただけなのだが…」

「そもそも何でそこでアイアンクローなんだい?」

「人の顔の大きさはその人が手の平広げたと同じと聞いた事があったのでな。私の手の平より小さいのかどうか気になったのだ」

「で、どうだった?」

「うむ。小さいな」

「イテー…まだコメカミが痛ぇ…小さいとかそんなんどうだっていいだろうが…」

「当麻、顔小せぇって」

「うるせーよ!」

「だから当麻、気をつけたほうがいい」

「何にだよ!」

「その顔の大きさでは誘拐される時に、口をアッサリ塞がれてしまう。何らかの対策を取らねばならん」

「せーじ、オマエ妖邪界で捕まってたクセに何言ってんだ」

「いや、秀、そこは僕らも言えないから」

「んなモン、どうでもいいよ……ていうか眼鏡いつまで掛けてんだよ、征士…!」




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懲りずに会話形式。3人ほど一人称が「俺」だから困る…読みづらかったらスイマセン。
手をバッと広げて、それを顔に重ねるとその人の顔の大きさと合うと聞きました。小学生の頃。
しかし手が小さいと幾ら小顔でも、巨顔にならないでしょうか。