バスにて
「イッテ!遼!オレの足踏むなよーっ!」
「え、ゴメン!お、おれ、こういうのチョット慣れてなくって…!」
「チックショー、何でこんなバス混んでやがんだよ!アイタ!オイ!当麻!テメーのカバン当たったぞ!って起きてンのか!?」
「…この状況で寝れるか、アホんだら」
「もー、キミ達うるさい!しょうがないだろ?テスト期間だから部活なくて登校時間が集中する上に今日、雨なんだから!」
「………伸、頼むから私の耳元で叫ばないでくれないか…」
「あ、でもアジサイ綺麗だ」
「え、ドコドコドコ、どこのやつ?」
「もう過ぎた」
「遼、次はもっと早く教えろよ!」
「ゴメン…あっ!幼稚園児の群れだ」
「おっ、ホントだ!あはは、みんな合羽着てらーカワイイなー」
「え、どこ?僕見損ねちゃった」
「まぁ雨には雨なりの景色の楽しみ方があるのは素晴しいな」
「あ、またアジサイ!」
「おー、キレイなもんだなー!」
「本当だねー」
「当麻、お前も少しは見たらどうだ。綺麗な物を見るのは精神的にもいい」
「…………オレ、征士しか見えないんですけど」
「………………当麻、お前、今モノスゴイ事言ったけど大丈夫か?」
「何が」
「あのネ……キミら、同じクラスでしょっちゅう一緒にいるから女子が騒いでるの、知らないの…?」
「だから何が。つーかオレの位置からじゃ征士の頭しか見えネェ…」
「もしかして当麻、征士の背後?おれの位置からじゃ当麻見えない…」
「真後ろだなー…つーか何でそんな位置になったんだよ。器用だなお前」
「知るかよ…押されまくったらこうなったんだって。オレだって好きで征士の背中に張り付いてんじゃねぇよ。
つーか征士の毛の量が多すぎる上に不可思議なクセ毛してくれてるせいでオレの視界がもう金一色だ!何も見えネェ!」
「私の背後で叫ぶな。煩い」
「チクショー…っ!征士、換われ!」
「無理を言うんじゃないよ、当麻。だいたいこの混みようでどうやって立ち位置換わる気なのさ」
「ううう……最悪だ…何だってこんな混むんだよチクショー…」
「仕方あるまい。テスト期間で朝練がないのだ。1週間の我慢だ。耐えろ」
「うー………………………。……………」
「オイ、当麻。自力で立たんか」
「…………」
「…当麻、凭れるなと言っている。………当麻、……当麻?」
「………征士。当麻、立ったまま寝たよ」
「マジかよ!?っはー、コイツ、マジ器用なヤツだなー!」
「さっきまで騒いでたのに凄いな、当麻」
「イヤ、遼、ソコは感心するトコじゃないからね。…て言うか、さっきこの状況じゃ寝れないとか言ってなかったかい?この子」
「…ふむ…仕方あるまい。このまま寝かしておこう」
「って征士、背中貸すのかよ!?」
「文句を言わんだけマシだろう。
それに正直、雨と冷房で少し肌寒かったところだ。コイツの体温が心地いい」
「…だから何でキミらってそう、……………いやもういいや。僕疲れちゃった」
「?」
「あ、カエルがいた」
「えっどこどこどこ!?つーかカエルとか見えねぇだろ!遼、どんだけ動体視力いいんだよ!」
「だからキミ達、もうちょっと静かにしなよ!」
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通学にバスを使う5人。
遼は人込み歩くとしょっちゅう人とぶつかってそうなイメージ。で、オタオタしてるイメージ。
会話ゴチャゴチャしててスイマセン。当麻に「征士しか見えない」って言わせたかったんです。